西 東 京 稲 門 会

観 劇 の 会

前代表転居により休会していましたが2017年より再開。昨年5月は前進座公演観劇実施、10月は武蔵野文化会館で行われた前進座公演「柳橋物語」を観劇。本年も2月に稲門出身で前進座女優の有田佳代さんとの交流会実施、5月には国立劇場“人間万事金世中”を観劇予定、秋も計画中。観劇後は飲みながらの交流会も行っています。会の平均年齢高いので若手の参加を期待しています。

ご入会希望の方は会員専用HOMEの[同好会資料]参照でご連絡下さい。


観劇の記『雨あがる』

学部3年生の春だった。演出家志望の友人といっしょに英文科生に呼びかけ演劇集団をつくった。
約30人ほどのグループだ。稽古は夜間の教室で、やたらに熱気だけが漲っていたが、所詮、素人の演劇集団であり、暗中模索の日々が続いた。
 夏場に御殿場市で、木下順二作『夕鶴』を上演。
真冬の12月にはArthur Miller作『All my sons』で、英語劇3幕3時間にわたるドラマを上演。えらく寒い日だった。そのうえ、演劇途中で大隈講堂の暖房設備が故障。まして英語劇である。お客さまは大変だったと思う。幕間のたびに、姿を消していった。このようにして、ぼくらの”冒険“は終わった。
収支トントン。赤字にならずに済んだのは僥倖であった。
 演出家志望の友は30歳で夭逝した。
前進座は、遠緑の者が端役を演じていた関係で、多少、心に触れ合う存在である。
前進座とは、どんな劇団なのか。
 昭和6年。それは戦争の足音が高まり、暗い世相であった。
この年、2人の若き役者が歌舞伎界の旧弊、ことに門閥制度を改革しようとしていた。河原崎長十郎と中村翫右衛門こそ、その人たちである。民主的運営を旗印にして闘い、生まれたのが『前進座』だ。しかし、やがてこの天才的役者らは事あるたびに、ぶつかり合うようになる。「両雄並び立たず」だったのかもしれない。
 戦後、前進座員すべてが共産党員になり、その思想の左傾化は、ますます強まり、地方公演で会場を貸さない自治体もあったという。当時、前進座は単なる演劇集団ではなくて、政治色を帯びた思想集団でもあったと思う。昔の話ですね。
 今回の演目『雨あがる』は、人情世話物では名うての作家、山本周五郎が書き上げたもの。幕が上がると、観劇のお客の目を一瞬、釘づけにする。
舞台いっぱいに、町人風情の人たちが居並ぶ光景から始まる。旅芸人、渡り大工、酌婦、巡礼者らの中に武士夫婦もいる、仕官の途を求めて流浪の旅を続けているのだ。町人らは長雨にたたられ、川止めになり、木賃宿に逗留していたのだ。
稼ぎもままならず誰も彼れもその懐はさびしい。少しのことでも、喧嘩になって罵り合ったり、殴り合ったりもする。
 武士の伊兵衛は凄腕であるが、めっぽう心根が優しい性格で損ばかりしている。腹を空かして、諍いをする同宿の人たちを救うために、かねて、妻のたよとの約束を反故にして、道場破りをして金銭をせしめるのだった。
気のいい町方の衆に飲めや唄えの大盤振る舞いをしたのだ。しかし、この「優しい心」が、ご法度の「道場破り」となったことで、「腕と人柄」を見込み、仕官の途を助力している藩の上司に漏れ伝わり、またも仕官を逸することになってしまうのだ。
 翌日、雨があがり川止めが解除された。同宿の旅人たちは別れを惜しみながら出立するのだった。こんども優しさゆえにチャンスに見放される伊兵衛とたよの2人。
 新たな旅に向かう夫婦の頭上には、雲一つない青空が広がる。
2人は出立する。かすかな微笑をたたえて             。
 観劇を終えてから、わが西東京稲門会校友、前進座女優・有田佳代さん(H17商)といっしょに記念撮影をしました。
この夜、観劇の仲間は近くの酒席で何度も杯を重ねたものです。

                       山本孝之(S41教英文)


『雨あがる』

1,場所 武蔵野市民文化会館
2,日時 9月30日(金) 14時30分開演
3,演目 山本周五郎原作 雨あがる
4,終演後、有田さんとの懇親会を予定しています。


 杜若艶色紫」観劇

今年度第一回の観劇は、5月23日(月)国立劇場大劇場の前進座公演で今の季節にふさわしい演目「杜若艶色紫(かきつばた いろも えどぞめ・副題お六と願哲)」でした。参加者は古賀顧問を含め7名でした。

本演目は一世を風靡した歌舞伎作者鶴屋南北の世話物狂言です。(文化年間の1810年代)
鶴屋南北は「残酷、非情、狂気、怨念」が支配する怪奇の世界を描いた作品が特徴で「東海道四谷怪談」が有名です。江戸時代文化・文政の頃、町方文化の爛熟期に当時の退廃的な世相を反映してか、大衆から圧倒的な支持を受けました。更に南北は歌舞伎独特の役どころ「色悪」(二枚目でも女性を裏切り、悪事を働く敵役)及び「悪婆」(惚れた男のために悪事を重ねる中年女)を確立させたことでも有名です。
「杜若艶色紫」も「東海道四谷怪談」と並ぶ南北の代表的な作品ですがストーリーはかなり複雑です。
『主人公は見世物小屋の蛇使いお六、お六は金のため悪人に加担し奥女中に化け、堕落僧の願哲(がんてつ)と共謀する。両名は河島万寿屋へ行き、遊女八ツ橋と情夫佐野次郎左衛門の仲を裂き、ために次郎左衛門は八ツ橋を殺す破目になる。のち、八ツ橋を実の妹と知ったお六は、せめてもの詫びに願哲が奪った次郎左衛門の尋ねる「濡れ衣」の刀を取り戻すため苦心する。更にその後次郎衛門、お六の夫・伝兵衛、その弟金五郎と恋人小三が登場し交差する場面やお六と願哲との確執が続き、最後は町方との立ち周りで終わる。』
正直なところ、登場人物も多く進行が多岐にわたり、見終わってから解説を読まなければ理解が困難でしたが、展開のテンポが速く飽くことなく時の経つのを忘れさせてくれました。
なお出演者の一人は「本作品の奇想天外な筋書き、生々しい人物描写、アッと言わせる仕掛けは南北の大きな魅力である。」と語っていました。
我が稲門会員で前進座俳優の有田さんは今回の舞台には出演されませんが、終演後、ご挨拶され参加者との記念撮影に参加していただきました。

一緒に写っている女性は、今回朗読に参加してくれる女優さん、黒河内雅子さんです。
次回観劇は9月30日(金)、武蔵野市民文化会館での前進座公演「雨あがる(山本周五郎原作)」を予定しております。今回も終演後の懇親会はありませんでした。次回観劇時にはコロナ禍の収束の目途が立ち、盛大な打ち上げが出来るよう祈りつつ帰路につきました。
観劇の会はメンバーに限らず稲門会員による都度のご参加もお待ちしております。お問い合わせ詳細は幹事の坂場さんよりご案内いたしますので宜しくお願いいたします。

昭和43年商卒 宿利 忠


「一万石の恋」観劇の記

今年度秋の観劇は、10月12日武蔵野市民文化会館にて上演の前進座「一万石の恋」。参加者は竹島、古賀両顧問を始め11名でした。
本演目は前進座創立90周年記念公演と銘打ち、山田洋次が脚本を担当し、落語「妾馬(めかうま)」の前半「八五郎出世」を題材とした喜劇作品です。落語は、殿さまに見初められたお鶴という貧乏長屋に暮らす女性が側室となり、その兄で屋敷を訪ねることから騒動が起きる滑稽噺です。

本演目では、鶴が見初められた殿様からお屋敷勤めをリクエストされ周りは大喜び。そこまでは同じですが、彼女には将来を約束した職人の清吉がいました。「あの人と一緒になれないなら、私は首を突いて死ぬよ!」お鶴の固い決意を前に、どんな説得も無力です。
しかしお断りしたらどんなお咎めがあるやら・・・長屋の世話役・大家徳兵衛は頭を抱えます。
苦肉の策で「お鶴は流行り病で死にました。」と嘘を申し上げると殿様は失意のあまり半病人となり、更に「鶴の弔いに参列する」と宣言します。
長屋では殿様来訪を前に、徳兵衛の陣頭指揮の下、長屋一同弔いの支度に余念がないが、いつの間にか楽しげに盛り上がってしまう連中の、あまりの馬鹿馬鹿しさにお鶴はふくれ面。
そこに殿様が到着、空の早桶を切々と悔やみの言葉を述べる殿様の姿に、生きた心地もない長屋一同。やっと一行が引き上げ、胸を撫で下ろしているところ「お鶴が死んだ」と思い込んだ清吉が駆けつけてもうひと騒動。最後は、お鶴は勿論、失意の殿様もハッピーエンドを迎えるというあらすじです。
芝居のテンポが速く、まるで落語の世界に「男はつらいよ」シーンをはめ込んでいるかと錯覚させる雰囲気です。

山田洋次監督は脚本担当としてのインタビューに答えてこう語ります。『人って「人間ってそうなんだな」と共感したときにおかしくなる。人間っていやな奴、美しい人、素敵な人、愚かな人も、そこに「人間」が描かれていれば、観客が共感できる。人間ってああいうもんだよなあ、とか、自分もこれに近いな、なんて発見すると、うれしくなって人は笑う。発見できた喜び、人間に対してちょっと客観的になれた喜び、人間を観察できた時にふとうれしくなるというか。』

笑いの渦を巻き起こしながら進行する芝居を振り返ってみてこんなことを思いました。自分の納得できないことには「何故」と心の中で投げ掛ける鶴や兄、清吉の言動に表われてくる生き方には、どんな相手に対しても自分を信じ見失わないで生きるといった「男はつらいよ」の根底に見える精神につながるような気がします。
ヒロインお鶴役、われらが会員仲間の有田佳代さんは二階席後部迄よく透る声で家族思いのしっかり者を演じ好演をみせてくれました。昨年の「残り者」にも出演して中堅女優として着々と実績を重ねており、前進座女優陣のなかでもますます存在感を高めております。
コロナ禍の中、今回も観劇後打ち上げはなく、皆それぞれ大人しく家路につきました。
観劇の会ではメンバーに限らず稲門会員のご参加をお待ちしております。次回予定はまだ決まっておりませんが、確定次第幹事の坂場さんよりご案内いたしますので、ご希望される方はお気軽にご連絡いただきますようお願いいたします。
       昭和43年商卒 宿利 忠


 〇前進座創立90周年記念公演

  2021年5月7日(金)11:00- (国立劇場大劇場)
  演目:舞踊「操り三番叟」と「たが屋の金太」の2本立て
   


「文七元結」観劇の記
                         
令和二年度第二回の観劇は、1月27日(水)小金井宮地楽器大ホールにて上演の前進座「文七元結(ぶんしちもっとい)」、参加者は古賀顧問を始め計8名でした。(前回は昨年10月同座公演の「残り者」)
本演目は三遊亭圓朝の原作、落語人情噺「文七元結」を前進座が歌舞伎仕立てに脚色した作品です。
人情噺のうち、一介の庶民が大金を手に入れたため大騒動となる落語は「芝浜」や「富久」がありますが、この「文七元結」は話が長く話術が長けた噺家が取り組む噺です。ストーリーが複雑で面白いため歌舞伎界でも採用されており、過去にも前進座が上演している得意の演目です。
ご存じの方も多いかと思いますが、ストーリーは江戸下町に住む左官の長兵衛が主役です。腕は立つもののバクチと酒にかまけて稼業はほったらかし今日は大晦日、掛取りに支払う金もなく女房お兼との間にはいつもの喧嘩が始まります。一人娘のお久(我が会員の有田佳代さんが演じました)は、そんな不和に心を痛め、一人自ら吉原の遊女屋「佐野槌」に身を売って金を拵えようとします。店からの遣いに慌てて駆けつけ、訳も聞かずにお久に説教する長兵衛を制し、きつく意見をする女主人のお駒。こんこんと諭され娘の孝行心に打たれた長兵衛はすっかり目が覚め懸命に働いて一年のうちに迎えに来ると誓い、「佐野槌」から五十両を借り受けます。(お駒は身の回りの世話係としてお久を預かる)日暮れの帰り道、長兵衛は大川端の暗がりで身投げしようとしている若い男、和泉屋手代の文七に出くわしてしまいます。訳を聞けば店の掛け取りで預かった金をやくざ者に絡まれ盗まれたらしいとのこと。芝居は最大の見せ場となり、長兵衛は懐の五十両を文七に与えてしまいます。・・・・そして翌日話は急展開し、ハッピーエンドを迎えるというあらすじです。
コロナ禍の中、人と人とが距離をとることが求められる昨近です。しかし登場人物たちが繰り広げる心にしみる一幕のように、心と心の距離は近付くことが出来る、人は支え励ましあってこそ生きて行ける、そんな世の中を実感できるようになりたい、と思わせる芝居でした。
お久役の有田佳代さんは昨年の「残り者」にも出演して中堅女優として着々と実績を重ねており、前進座女優陣のなかでも有望株として注目を浴びております。
恒例の観劇後打ち上げはせず、皆それぞれ大人しく家路につきました。観劇の会ではメンバーに限らず稲門会員のご参加をお待ちしております。次回予定はまだ決まっておりませんが確定次第幹事の坂場さんよりご案内いたしますので、ご希望される方はお気軽にご連絡いただきますようお願いいたします。
       昭和43年商卒 宿利 忠 


コロナ禍での「残り者」観劇の記

 今年の第一回鑑賞は当初5月に国立劇場での前進座公演を計画しておりましたが(演目は「操り三番叟」他)、コロナの蔓延にて公演中止となり、やっと10月31日(土)参加者10名にて武蔵野市民文化会館公演での同座公演「残り者」を観劇することができました。
 本演目は浅井まかて著(2014年「恋歌」にて直木賞受賞)の同名小説を、前進座としては珍しく女優だけで演じられました。
  
 官軍の開城命令により、将軍家・城兵・女中等ほとんどの住人が立ち去った後、開城前日(慶応四年四月)から翌日にかけて、大奥に残った奥女中わずか五人の2日間の生きざまが演じられます。
 その日天璋院(篤姫:十四代将軍家茂の正室)の愛猫「サト姫」が城内で行方不明となり、世話役女中たちが必死に捜索するも見つかりません。やっと発見したが既に日が暮れてしまいます。
 登場する奥女中は「サト姫」の世話役二人のほか、裁縫係、炊事係、御中臈(位が高い)の計五人だけです。
 当時の江戸城奥女中といえば終身雇用がほぼ保障されていて、能力次第では昇進も可能な稀有の女性職場であり、奥女中はキャリアウーマン達だったようです。
 ところが幕府の瓦解により奥女中達も職場・やりがいのある仕事を失い、帰る場所がない者も突然問答無用で追われることになります。
 舞台では当初夫々の出自生い立ち、利害や仕事の違いもあり、プライド・競争心が強い女性たちがいがみ合い喧嘩を始める始末です。しかし窮地に追い込まれていく中で、お互いの心を開き理解を深めるにつれ、次第に打ち解け助け合ってゆく展開となります。そして翌日全員が希望をもって新しい道を歩き始めることを暗示して幕が閉じられます。
   
 ―この先もずっと続くと思っていた日常が、突如として崩壊する―今年我々が経験している状況と二重写しになると思うのは私だけではないかもしれません。
 我が稲門会員で同座女優の有田佳代さん(二年前の前進座公演「ちひろ」に主役)も女中役の一人として大活躍でした。
上役のご中臈に物おじせず、張りがあり良く透る声で一番元気な役に相応しい演技でした。
 また劇中、客演の毬谷友子(宝塚出身・舞台テレビで活躍中)が「サト姫」役で狂言回しを務める軽妙な演技も見どころです。
 原作者浅井まかて氏は本公演に次のエールを送っています。『前進座錦秋公演「残り者」は激動の世を生き抜いた女たちのたった一日の闘いを描いた芝居です。そして前進座の女性たちが演劇の灯を高々と掲げ、新しい世界を開く挑戦でもあります』

 観劇後恒例の打ち上げ(有田さんも参加)は三鷹駅付近の居酒屋で参加者8名にて開催し、大いに懇親を深めました。
 心豊かに充実した時を過ごした帰り道は満月が行く手を照らし、コロナ渦中をしばし忘れさせる程でした。
 なお、次回観劇は、新春1月27日(水)小金井の宮地楽器ホールにて前進座公演「文七元結」に決定しました。有田さんも主人公の女房という重要な役で出演されます。
 また、観劇の会では会員に限らず多数の稲門会員のご参加をお待ちしております。詳細は幹事の坂場さんよりご案内いたしますので宜しくお願いいたします。

昭和43年商卒 宿利 忠 


「鼠小僧次郎吉」観劇の記

今年二回目の観劇は、9月30日(月)武蔵野市民文化会館前進座公演「鼠小僧次郎吉」でした。(前回は同座5月公演の「佐倉義民伝」)参加者は古賀会長及び小平稲門会よりの参加をあわせ計13名でした。
本演目は江戸文政から天保初期(1820年代)に江戸中を震撼させ、処刑された実在の大泥棒「鼠小僧次郎吉」を主人公に脚色した真山青果の大正時代の作品です。
鼠小僧といえば「義賊」、即ち泥棒でも金持ちから盗み貧しい人々に施しを与えるヒーローというイメージですが、実際はそうではなかったようです。本来の鼠小僧は盗んだお金を博打などに使っていて庶民にお金を配るということはしていなかったようです。
では只の悪党がなぜ世間のヒーローになり、おおいに人気を博したのか?その理由は鼠小僧が捕縛・処刑された後、彼の盗んだ金が何処を探しても見つけられなかったことによるそうです。そのことで江戸町民たちは「鼠小僧はきっと盗んだ金を貧しい人たちに配り歩いたのだ」と噂したのでしょう。苦しい時代を生きる庶民の、そうだったら良いと思うささやかな憧れが、SNSのない時代でも江戸中に拡散され、瞬く間に彼をヒーローにしてしまいました。このテーマは歌舞伎・講談の世界に登場し現代まで数多く上演・語り続けられてきました。
庶民は、強気を挫き弱気を助ける姿に共感とそして楽しみを感じていました。そんな憧れの鼠小僧が世間に評判される華やかさの裏側で一人悩み苦しむ人間だったら、そしてそこに偽物の鼠小僧がいたら・・・。真山青果の描いた鼠小僧はこうした仮定の設定で展開されます。
本公演のストーリーは鼠小僧が一度捕縛後大阪に所払いになり、足を洗い江戸に戻って来たところもう一人の鼠小僧(偽物)が盗みを続けている状況から始まります。
偶然にも偽の鼠小僧と遭遇し、両者を取り巻く人間模様や、絡み合う愛憎と苦悩のドラマが展開されます。鼠小僧の心理を深掘りした主役の演技と、派手な捕り物劇の立ち回りアクションも加わった静と動の流れに引き込まれ、時の過ぎるのがあっという間でした。イメージとは一味異なる真山青果の描く鼠小僧は興味深く十分に堪能いたしました。
観劇後恒例の打ち上げは三鷹駅付近の居酒屋で参加者6名にて開催し、大いに懇親を深めました。なお、我が稲門会員で同座女優の有田佳代さん(昨年11月以降の前進座公演「ちひろ」に主役)は「ちひろ」の追加地方公演の為残念ながら欠席でした。
なお、有田さんも交えた追加懇親会を11月12日に開催し、これまた楽しく盛り上がりました(大泉学園の「まるふく」にて参加者6名)
次回観劇は来年5月頃国立劇場での前進座公演を計画しております。(令和2年5月9〜22日のいずれか、演目は@操り三番叟、A俊寛、Bたがやの金太、の三本立)
観劇の会ではメンバーに限らず多数の稲門会員のご参加をお待ちしております。詳細は追って幹事の坂場さんよりご案内いたしますので宜しくお願いいたします。
       昭和43年商卒 宿利 忠


「佐倉義民伝」の次は「鼠小僧次郎吉」観劇です
                      昭和43年商卒  宿利 忠

今年第一回の観劇は、平成も押し詰まった5月20日国立大劇場での前進座公演「佐倉義民伝」、参加者は古賀会長及び小平稲門会よりの参加をあわせ計10名でした。
本演目は江戸時代承応年間の農民一揆の主人公として有名な佐倉惣五郎(役名では木内宗五郎)を題材にした通し歌舞伎です。ストーリーは、凶作にあえぐ下総地方佐倉郷で領主がさらに過酷な年貢の追徴をおこなうことに領民が反発します。名主の木内宗五郎を筆頭に江戸の領主に訴えるも門前払い、やむなく宗五郎は単独で将軍への直訴という最後の手段に訴えます。直訴は取り上げられるも惣五郎夫婦は磔、子供達は打ち首という、我が身のみなず妻子までもが断罪されるといった最悪の展開となります。フィナーレは領民たちが宗五郎の遺徳を讃え、強く生きてゆこうと決意をする場で終了。
見所として、宗五郎の領民への一途な思い、家族への深い愛、不可能とは知りながらひとり巨大な権力に立ち向かう強靭な志や、舞台美術として雪の降りしきる白一色の冷たい世界から一転して華やかな江戸寛永寺の極彩色の対称の鮮やかさ等盛沢山な内容で3時間のベテラン揃いの演技とあいまって時のたつのを忘れました。
実際の事件は17世紀後半に発生しましたが惣五郎が復権したのは約百年後のことです。宝暦2年(1752年)、当時の佐倉領主が惣五郎百年忌に子孫に戒名を贈り佐倉の神社に祀られることになりました。それ以降全国に伝承されることなり、各地に惣五郎神社が建立され現在30数か所となっています。「佐倉義民伝」は更に百年後、嘉永4年(1851年)江戸中村座にて初上演されました。後世、福沢諭吉は「世界中に対して恥じることなかる可き者は、古来唯一名の佐倉宗五郎あるのみ」と称賛いたしました。3時間の舞台でしたが迫力ある舞台で歌舞伎の世界を堪能することが出来ました。
打ち上げは恒例により吉祥寺「戒(えびす)」にて開催、親睦を深めました。宴もたけなわとなった頃、我が稲門会員で同座俳優の有田佳代さんも合流しました。
有田さんは昨年11月からの前進座公演「ちひろ」に主役指名され、絵本作者いわさきちひろの若き時代を演じ全国巡回公演を展開。(会として11月公演を観劇)「ちひろ」は好評につき、現在も追加公演が各地で続いているとのこと、(9月20日中野ZEROホール公演あり)一同歓声に沸き、酒席のボルテージは最高潮に達しました。
なお、次回観劇については前進座公演「鼠小僧次郎吉」に先日決定しました。日程は9月30日(月)15時開演で会場は武蔵野市民文化会館です。田無より交通の便も良いので観劇の会メンバーに限らず是非共多数の稲門会員のご参加をお待ちしております。詳細は後日幹事の坂場さんよりご案内いたしますので宜しくお願いいたします。なお今後観劇の会では、幅広いジャンルの演劇鑑賞も検討しておりますので、ご希望等も合わせご入会を歓迎いたします。

昭和43年 商卒 宿利 忠


観劇の集い、次回はワセ女が主役です

昭和43年商卒  宿利忠

真夏を思わせる日差しが眩しい5月16日、観劇の会一行9名は国立大劇場にて前進座公演「人間万事金世中(にんげんばんじかねのよのなか)」を観劇いたしました。私は観劇の会員として、また前進座公演も初めての為、期待を膨らませつつ、幕が上がりました。
本作品は英国原作の翻訳を河竹黙阿弥が脚色し明治初期に置き換えた歌舞伎仕立て散切り物の通し狂言です。叔父の家の居候で冷や飯を食わされていた心優しい主人公に思わぬ遺産が入り、冷たい仕打ちをしてきた親戚が手のひら返しですり寄ってきます。それもつかの間、父親の借金の為あっという間に素寒貧となる目まぐるしい展開の後ハッピーエンドを迎えるという喜劇でした。休憩を挿み約3時間、ベテラン揃いの演技は居眠りをせず、楽しく鑑賞することが出来ました。
打ち上げは吉祥寺に移動し、駅前の「戒(えびす)」にて乾杯、親睦を深めました。和やかな雰囲気の中、我が稲門会会員で同座俳優の有田佳代さんが駆けつけ、ご本人の身の上話や公演の話に花が咲きました。
有田さんは入学当初より演劇の道を志すものの、数あるサークルには所属せず平成17年無事4年間(!)で商学部を卒業、直ちに前進座に参加されました。以来20年芸道一筋に精進され、今や中堅女優として活躍されています。
話が弾みご本人より今秋11月からの前進座全国巡回公演「ちひろ」に主役指名されたことを発表、大抜擢と喜んでいました。児童画・絵本作者の巨星いわさきちひろ(1974年没・今年生誕100年)の若き時代を仲間が演じることで酒席は一層盛り上がりました。会としては11月12日練馬文化センターでの観劇を決定しました。当日は観劇の会メンバーに限らず是非共多数の会員にご参加いただき応援いただければと思います。お申込方法は後日幹事の坂場さんよりご案内いたしますので宜しくお願いいたします。なお、観劇の会では今後「歌舞伎」、「宝塚」等を含め幅広いジャンルの演劇鑑賞を検討しておりますので、合わせてご入会をお勧めいたします。


◇観劇の会 再開

竹島代表の転居などにより休会していた「観劇の会」を、今年度(29年度)から再開しました。
前期は5月21日(日)、前進座国立劇場公演で、山田洋次演出「落語らくだ」より裏長屋騒動記を5人の会員で観劇。
後期は10月27日(金)、武蔵野市民文化会館で、山本周五郎原作、前進座千秋楽公演の柳橋物語を観劇。
江戸下町を舞台に、主人公の“おせん”が、ひたむきに過酷な人生を生きる姿を描いている。主役の今村文美さんの迫力ある演技。有田佳代さんも娘役、老婆役等の4役を見事につとめ、観衆を魅了しました。
団体鑑賞の楽しみは、舞台が終わった後の談笑にあります。打ち上げは三鷹の白木屋で開催。

出演者である有田佳代さん(西東京稲門会会員)を囲んで和気あいあいの楽しいひとときを過ごしました。有田さんは、観劇の会がご縁で、最近稲門会に加入しました。
参加した会員は7人は、明日への活力をもらって一同家路につきました。
観劇の会新代表 坂場正勝(S43・法)


前進座の観劇会を下記のとおり行います。(終了)


この作品の作・演出を志村智雄氏(S43法)が手掛け、出演女優の一人有田佳代さんは早稲田出身です。
作品は、大正三美人、三歌人と呼ばれ、当時一世を風靡した女性、九条武子の生涯を描いたものです。
観劇後、志村、有田両名ほか出演者数名の参加で、感想会を行います。

○観劇日時:10月6日(火)15時半の部
○演 目 :「如月の華ー九条武子ものがたりー」
○劇 場 :浅草公会堂(集合15時、公会堂入場口前)
○観劇料 :¥5,850(¥6,500 10%引き)
      感想会込¥10,000
○感想会 :観劇後、志村氏ほか俳優・女優参加
      (感想会は希望者のみ)
出欠の連絡:メールまたは電話にて、9月10日(木)までに(竹島)
*会員以外の方もご興味のある方は是非ご参加下さい


今年度第1回の開催を以下の通り行います。(終了)
先にお送りしました「早稲田どらま館パンフレット」をご参照下さい。
○開催日時:4月23日(木)13時演劇博物館前集合
             (各自昼食は済ませてきてください)
 13:00〜 演劇博物館見学
 14:45〜16:15 早稲田小劇場どらま館開館記念トーク
             (大隈講堂)
             平田オリザ×鎌田薫(早稲田大学総長)
             司会:岡室美奈子(演劇博物館館長)
○入場無料
○参加希望者は4月20日(月)までに(竹島)


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