3月28日 (火) 晴れ
★ 3月21日、全国に先駆けて東京で開花宣言があった。それから1週間、桜も満開となり絶好の花見日和となるはずであった。しかし開花宣言のあと寒い日が続き、特に27日は真冬のような寒さであった。北関東の山沿いでは季節外れの大雪が降り、登山講習を受けていた高校生が雪崩に巻き込まれて死亡するという痛ましい事故も起きている。 幸いこの日は天気も回復して寒さも和らぎ、散策にはまずまずの日であった。
★ 駒込駅前に染井吉野桜記念公園という小さな公園がある。「染井吉野桜発祥の里 駒込」と書かれた記念碑と、ソメイヨシノの原種と言われるエドヒガンザクラとオオシマザクラが植えられている。どちらの桜もちらほらと咲き始めたばかりであった。
★ 山手線の線路を挟んで反対側に六義園がある。五代将軍・徳川綱吉の側用人・柳沢吉保が元禄15年に築園した和歌の趣味を基調とする「回遊式築山泉水」の大名庭園である。 通常は正門からしか入れないが、シダレザクラの咲く頃と紅葉の時期は駅に近い染井門からも入場できる。ことしも3月16日から4月2日までシダレザクラの夜間ライトアップが行われ、染井門からの入場ができる。しかし今年はまだ3分咲きなので、ライトアップは4月6日まで行われるという。 高さ13m、幅17mの堂々たる枝ぶりのシダレザクラの薄紅色の花が地面につくほどに垂れ下がる様は圧巻だという。まだ3分咲きというが、花が満開になっている枝もあれば、まだ開花していない枝もあるということで、満開になっている枝だけを見れば十分に見ごたえがある。 シダレザクラを見た後、池の周りを一周した。茶店があったり、太神楽の実演があったりして園内には春らしい華やかさが溢れていた。
★ 六義園から20分ほど歩いて旧古河庭園に着いた。明治時代に不平等条約の改正などに功績のあった陸奥宗光の邸宅であったが、次男が古河家の養子になったときに古河家の所有となった。洋館と洋風庭園は鹿鳴館、ニコライ堂、旧岩崎邸を設計したジョサイア・コンドルによるもので、日本庭園は京都の庭師・小川治兵衛による。ここはバラの美しい庭園として有名なので、今は六義園ほど混雑していない。シダレザクラが1本だけあって、これがちょうど満開・見頃であった。この桜の木の下で記念写真を撮った。 石造りの洋館の建っている場所から一段低い所に幾何学模様のバラ園がある。バラの見ごろは5月と10月だそうである。バラ園より更に下に降りると日本庭園がある。心字池を中心に大滝、枯滝、大きな雪見灯籠が配置され幽玄な雰囲気を醸し出している。
★ 旧古河庭園を後にして王子方面に向かう。しばらく行くと右手に独立行政法人・国立印刷局 東京工場があった。紙幣、官報、証券、切手などを印刷しているところである。高いフェンスで囲まれ、門の前には年配の守衛さんが立っており、若い守衛さんが植込みの中やフェンスの周りに危険物がないか丁寧に見て回っていた。年配の守衛さんに「ここでお札を印刷しているのですか?」と聞いたら、もごもごと口ごもってはっきり答えてくれなかった。しかし、ここでお札を印刷していることはホームページにも出ているし、事前に申し込みをすれば工場見学もできる。
★ 印刷局の先に西ヶ原一里塚がある。現在の本郷通りは昔の日光御成道で、ここは日本橋から二里目にあたり、二本の榎が植えられた一里塚が作られた。大正の初め、市電を延長するために塚が撤去されそうになったとき、渋沢栄一や地元住民らが保存運動を行い、塚を避けて軌道が作られた。
★ 一里塚のすぐ先が飛鳥山公園の入り口である。駐車場を抜けて公園に入ると渋沢資料館、紙の博物館、北区飛鳥山博物館が並んで建っている。渋沢栄一はここ飛鳥山に屋敷を構えていたし、渋沢栄一が設立した日本最初の製糸会社・王子製紙王子工場があったところである。 飛鳥山公園は徳川吉宗によって作られた公園で、江戸時代から桜の名所として知られていた。我々も花見が出来るかと思って楽しみにしてきたがほとんど開花していなかった。それでも気の早い人は桜の木の下にシートを敷いて宴会をやっていた。 公園の一角に茶店があったので、ビールでも買って花のない花見でもしようと思ったが、甘酒以外にアルコールは売っていないということで、ジュースやお汁粉を頂きながら花見の予行演習をした。 ★ 飛鳥山から都電荒川線に乗って大塚駅まで来て、ここで解散となった。時間は午後4時を少し過ぎたばかりなので、有志9人が駅前の居酒屋「はなたれ」に乗り込み7時近くまで大いに飲み、食い、談笑した。 金目鯛や初鰹の刺身盛り合わせ、フキノトウのてんぷらなど春らしい肴が格別に旨かった。
散策に参加した俳句クラブの人たちの句です。
ひこばえの洞に一輪初花す 志賀 勉 枯山水に花屑浮かぶ流れかな 松尾 良久
参加者 金児利行、梶原松子、小島恕雄夫妻、佐野信男、志賀 勉、松尾良久 水野聡夫妻、安井義彰夫妻、安村長生 以上12名 写真と文 小島恕雄 |