6月27日 (火) 曇り
★ いかにも梅雨時らしい曇り空であるが、幸いに雨の降る心配はない。久しぶりに浜さんが参加して、参加者は13名である。 池袋駅を10時に出発して、西日暮里で乗り換え、金町駅に到着したのは10時45分であった。元気のよい若者? 5名は歩いて、残りの8名は11時発のバスで南蔵院へ向かった。バス組が南蔵院に着いたとき、徒歩組は既に到着していた。
★ 南蔵院は業平山東泉寺という天台宗の寺で、本山は比叡山延暦寺である。在原業平が東下りの際に隅田川で舟遊びをしたが、船が転覆して多くの人が亡くなった。業平はその人々を弔い、像を刻んで村人に与え、法華経を写経して塚に納めた。(業平塚) その傍らに南蔵院が創建されたという。 南蔵院は「しばられ地蔵」で名高い寺である。大岡越前守忠相が盗賊団を捕まえるときに南蔵院の石のお地蔵様を縄で縛ったと伝えられている。それ以来諸願成就、特に難病平癒に霊験があるお地蔵様として信仰され、祈願するときはお地蔵様を縄で縛り、成就したときは縄を解くことから「しばられ地蔵」とよばれている。毎年大晦日の夜にしばられ地蔵の縄解き供養が行われる。 山門を潜るとまずしばられ地蔵尊の姿が目に入る。縄でがんじがらめに縛られている姿は痛々しい。1本100円の縄を買って更に縛り上げた人も何人かいた。しばられ地蔵の隣には八角形をした聖徳太子堂、その手前には本堂があるが、本堂の前には樹齢450年と言われる霊松・聖徳の松が見事である。 地蔵堂の裏にはよく手入れされた庭があって、石と芝生で描かれた曼荼羅、水琴窟、茶室などがある。
★ 南蔵院から5分足らずで水元公園の南端のしばられ地蔵口である。公園に入るとさっと涼しい風が吹いてきて気持ち良い。入口を入るとすぐ目の前が花菖蒲園である。ここは1万2千株、20万本の花菖蒲が咲く都内最大の菖蒲田であるが、花の盛りは過ぎていた。それでもまだまだ花を楽しむことができた。
★ 水元公園は小合溜(こあいだめ)に沿って造られた都内唯一の水郷の景観を持った公園である。小合溜は江戸時代に作られた溜井の一つで、用水を確保するために河川を堰き止めて作った用水である。8代将軍・吉宗の指示により水害防止、及び灌漑用水を調整する遊水池として設けられた。昭和40年に都立水元公園として開園し、面積は96万uもある。 ★ 花菖蒲の他にスイレン、ハス、コウホネ、ガマ、アシなど水辺や湿地に咲く水生植物が多くみられた。 アメンボ、シオカラトンボ、麦わらトンボ、オニヤンマなどの水辺の生き物たちにも出会った。ダイサギ、ゴイサギ、アオサギの優雅な姿にも出会ったし、アシの草むらでなくオオヨシキリの声も聞いた。
★ 水元公園の見どころは水辺だけではない。高さ20mにもなるポプラ並木が1.2kmも続いたり、メタセコイヤの森があって気持ちのよい散歩道である。アベリアの甘い蜜を求めてクロアゲハが飛び回っていた。 公園の北端の出口近くに汚れた河川の水を浄化して美しい水辺にする「かわせみの里」がある。名前の通りカワセミがいるかと思って見ていると、一羽のカワセミが飛んできて池の中の枯れ枝に止まった。遠くだったので写真を撮ることができなかったが、瑠璃色の羽はまさに宝石のようで、これを見ただけで今日は大満足である。
★ 公園の中には売店とレストラン「涼風」がある。昼飯はこのレストランでとる予定にしていたが、行ってみると20人ほどの団体の先客がいて満員であった。やむを得ずベランダの席に陣取って順番を待った。ここの名物は海老穴子天丼だというのでこれを注文する人が多かったが、先客が多かったためにご飯がなくなってしまったということで、全員が天ぷらそばにした。水辺に面した眺めのよい場所で食べる天ぷらそばもなかなか旨かった。
★ 金町駅に戻ってきたのは午後3時頃であった。予定はここまでなので一応解散したが、まだ時間が早いということで近くの柴又帝釈天に行くことになった。京成電車で一駅、柴又駅で降りるとお馴染みの寅さんの銅像が立っていて、今年の3月にはさらにさくらの銅像も立った。賑やかな参道を5分ほど歩くと柴又帝釈天、正式には経栄山題経寺という日蓮宗のお寺に着いた。 帰りは「とらや」という店に入って草団子をつまみにして生ビールや日本酒を頂いたが、これもなかなか乙な組み合わせであった。 志賀さんから俳句を寄せて頂きました
梅雨曇り 水琴窟の 妙なる音
花菖蒲園にて あじさいと花菖蒲をバックに
参加者 金子正男、梶原松子、小島恕雄夫妻、志賀 勉、滑志田隆、野本瑩一、浜昌太郎、 水野聰夫妻、安井義彰夫妻、中村仁美 以上13名 写真と文 小島恕雄 |