西東京稲門会・散策の会 例会報告 

2018年5月    狭山丘陵・トトロの森 

 

29 )  薄曇り

 

    奥野和雄さん、辻直邦さん、河合宏則さんの3人の新入会員を迎えて、総勢13名での賑やかな散策の会であった。梅雨入りも近いと思わせる曇り空であったが、日差しがないので歩くには楽であった。

 

    小手指発9時20分のバスに乗り、9時35分に荻原バス停で下車した。のどかな田園地帯であるが人家も多い。畑の中の道を行くと民家の庭にはカシワバアジサイ、タチアオイなどの花が咲き乱れ、馬のしっぽのような白い栗の花が印象的である。20分ほどで「さいたま緑の森博物館」の案内所に着いた。「さいたま緑の森博物館」とは雑木林など自然そのものを展示物に見立てたフィールドミュージアムで、雑木林や湿地や田んぼなど、かつての武蔵野の風景が広がっている。そして植物や昆虫や野鳥などのたくさんの生き物が暮らしている。

 

      タチアオイ   カシワバアジサイ      栗の花

 

    案内所ではこの雑木林に生息する生き物たちの写真や資料が閲覧でき、職員が説明してくれたり散策のアドバイスをしてくれる。案内所の周辺は「トトロの森第30号地」である。1990年に「トトロの森ふるさと基金」が設立され、市民の寄付によって集められた資金で雑木林を買い取り、水田の復元・管理、雑木林の下草刈りなど、貴重な自然を保護する活動を行っている。現在では狭山丘陵一帯に第48号地まである。

 

  さいたま緑の森博物館

      トトロの森

  トトロの森第30号地

 

    案内所の横には「水鳥の池」があり、周囲には大谷戸湿地が広がり葭やガマなどが密生している。雑木林の中は涼しい風が通り過ぎて気持ち良い。野鳥たちが鳴き交わす声を聞きながら林の中を進むとやがて狭山湖の外周道路に出た。外周道路をしばらくゆくと「夜間通行止」の柵があり、そこを左折すると登り坂となって、やがて林が切れて見晴らしのよい場所に出た。周りは茶畑とブドウ畑である。一画に気持ち良さそうな草地があって「ゴルフ禁止」という立て看板が立っていた。そこから「糀谷八幡湿地」へ向かう細い林の中の道をくだる。雨が降ればたちまち川になるような、細くえぐれていて石ころや木の根っこが転がっている道である。目指す糀谷八幡湿地を見つけられないまま民家のある場所に出てしまった。大雑把なガイドマップを見ても現在地が分からないので辺りを見回していると右手の丘の中腹に赤い鳥居を見つけたので、とりあえずそこに行ってみたら「山之神神社」である。これで自分のいる場所が確認できた。

 

    大谷戸湿地

下で見つけた神社の鳥居

    山之神神社

 

    ガイドマップによれば山之神神社のすぐ上が昼食場所に予定していた「比良の丘」である。神社の上の道を50mほど右へ行ったら「ゴルフ禁止」の立て看板が立っていた草地にでた。ここは比良の丘の一部だったのだ。時間はまだ11時を少し過ぎたばかりであったが、予定通りここで昼食を取ることにした。大きな木の下にテーブルとベンチがある。そこに6人が座り、他の7人は草の上に座ってお弁当を広げた。近くでは秋田県出身の三人姉妹たちがお弁当を食べていたが大変親切な人たちで、我々にビニールシートなどを貸してくれた。丘の上は見晴らしがよく、早大・所沢キャンパスの建物も見える。爽やかな風が吹き抜ける気持ちの良い場所である。

 

   丘の上のランチタイム

        参加者13名

 

    昼食後、比良の丘から早大・所沢キャンパスに向かう。ゆるやかな下り坂で、舗装された農道なので歩きやすい。道の脇に大きな桑の木があり、赤黒く熟した実がたくさん付いていた。勧められるままに1つ摘まんで食べてみたら甘すっぱくて美味しかった。

しばらく行くと真言宗豊山派の金仙寺である。「花の金仙寺」と書いてある通り、境内や周囲の畑にはタチアオイ、アジサイ、デルフィニウム、サツキなど色とりどりの花が咲いていたが、初秋に咲くはずのコスモスが咲いているのには驚いた。

 

     金仙寺

  金仙寺前の東屋で

  季節外れのコスモス

 

    金仙寺の前の急坂を下ると目の前が早稲田大学である。南門からキャンパスに入った。学生食堂でお茶でも飲もうかと思ったが、ちょうど昼休みで混雑していたので、われわれは自動販売機でジュースを買って、テラスにあるテーブルで一息入れた。

正門前からスクールバス(無料)で小手指駅に戻ってきたのは1時頃であった。

 

    新入会員の歓迎会をやろうということになった。時間がまだ午後1時過ぎで居酒屋も開店していないだろうと思ったが、とりあえず所沢駅で降りて繁華街を歩いていたら幸いにもオープンしている店があった。そこで2時間ほど大いに歓談した。今回の新入会員は皆さん個性豊かな人たちで、これからの散策の会は益々賑やかになりそうである。

 

 

俳句クラブのお二人から俳句を寄せて頂きました。

       万緑を 抜けて母校の 白亜見ゆ

桑の実に 手のひら染めて 狭山道

友と往く トトロの森は 百千鳥                   以上 金子正男

老鶯の 声の限りに 深き森

丘陵を 彩り占める 立葵

薄暑光 鳥居の朱の 際立てり        以上 志賀勉

 

参加者  奥野和雄、金児利行、金子正男、河合宏則、古賀良郎、小島恕雄夫妻、

志賀勉、辻直邦、野本瑩一、水野聰夫妻、原田一彦  以上13名

 

写真と文 小島恕雄