ガウディとサグラダ・ファミリア展
9月3日(日) 東京国立近代美術館
この日も猛暑日一歩手前の真夏日。今回は東京のど真ん中、千代田区北の丸公園にある国立近代美術館の「ガウディとサグラダ・ファミリア展」に出かけました。
人気のある「サグラダ・ファミリア展」だけあって入場規制が敷かれ、会場内もかなりの混雑ぶりで、展示品を観るのも、説明文を読むのも一苦労でした。
サグラダ・ファミリア(聖家族贖罪教会、日本名聖家族教会)はカタロニア・モダニズム建築の中で最も知名度が高く、スペイン第2の都市、バルセロナのシンボルとなっています。天才建築家アントニ・ガウディの作品群を構成するものとして2005年にはユネスコの世界文化遺産に登録されています。
この建物、発案から既に150年が経過しているのにも拘らず、未だ完成に至らず現在も建築中というから驚きです。しかし、今建築中の複数の尖塔のうち最も高い塔(170m)となる「イエスの塔」の完成によってガウディの没後100年となる2026年に遂に全体が完成予定とその日が間近に迫っています。
観覧後出席者5名は大手町地下街のすし店にて懇談しましたが、なんと出席者の6割の方が、現地バルセロナを訪れ、サグラダ・ファミリアを自らの眼で確認していたことが判明。その時の印象を語り合い、場は大いに盛り上がりました。
(高橋 隆門記)
古代メキシコ展
8月19日(土)東京国立博物館
猛暑の中、午後4時、会員は上野に集合。アメリカ以外では奇跡の初公開となったマヤの黄金時代を築いたパカル王の妃・通称「赤の女王」を中心とした出土品を心ゆくまで見ることが出来ました。
又、王と王妃の墓、アステカの大神殿、テオティワカンの三大ピラミッドなど古代都市遺跡の魅力を映像や臨場感のある再現展示で楽しむことが出来、充実感いっぱいの展示会でした。
メキシコの主要博物館から選ばれた140件の至宝はボリューム的にもものすごく、やや忙しい鑑賞となりました。
打上げの本場中国料理が又すばらしく、楽しい夕食会になりました。
(小嶋 弘記)
マティス展 東京都美術館
7月16日、この日も猛暑日。灼熱の中、思い切って上野へ向った。
都美術館に16時集合になっていた。思いの外参加者は多く11名。
皆マティスの魅力の方が暑さに勝ったに違いない。
自画像でマティスの顔を初めて知る。師のモローと違って彼の画は、
赤、青、黄など明るい色を使っている。観ていても力が湧いてくる。
風景画より人物画、静物画の方が力作が多い。私は、お笑いになる方も
いるかもしれないが、どの作品展に行っても次の様な事を考えながら
観ている。「この中で一番好きな画をあげると言われたらどれにしよう
か。」と
今回は、フォーヴィズムの出発点となった「豪奢、静寂、逸楽」にする
ことにした。描き方も珍しく点描である。
絵画以外で心を打たれたのはNHK製作のヴァンヌのロザリオ礼拝堂の
ヴィデオである。マティスも生涯の創作の集大成とみなした建築物と
言っているそうだ。
水色一色だけを使用したステンドグラス。光の射し様によって変わる
ろうそくの色。こんな素晴らしい礼拝堂がフランスにあるとは知らな
かった。この礼拝堂でお祈りできたらなあと思いながらヴィデオの世界
にのめり込んでしまった。
酷暑をしばし忘れさせてくれたマティス展であった。
(河村洋子記)
ルオーを楽しもう!
20世紀美術の展覧会が盛んですね。
美術愛好会でも1月に「ピカソとその時代」(国立西洋美術館)、4月に「エゴン・シーレ展」を楽しみました。
今回は「ジョルジュ・ルオー展」です。
ピカソはキュビズム、シーレは表現主義、マティスはフォーヴィスム、モネは印象派というイメージが定着していますが、ルオーにはそうした画派を特定した語られ方はあまりされて来なかったような印象があります。
実際、会で観覧後のクイズの答え合わせでも、「新古典派だと思った。」などの感想をいただきました。
この際、一度復習してみましょう。
最近、展覧会のチラシを飾った作品から時代別に見ていきます。
「ルーヴル美術館展―愛を描く」のチラシのW表面を飾ったのはブーシェの「アモルの標的」とジェラールの「アモルとプシュケ」でした。ブーシェは美術史では18世紀初頭の装飾性の高い宮廷美術のロココ、ジェラールは18世紀半ばのロココに対して自然で写実的な表現に回帰する新古典主義の代表的な画家です。これに先立つ17世紀の絵画が古典主義で、ギリシャ・ローマの古典・古代を理想とし、均整・調和を重んじました。プッサンやラトゥールなどが代表的な作家です。こうした画派の権威性に対抗し、1874年に「第1回印象派展」を開いたのはモネら印象派の画家たちでした。
「ジョルジュ・ルオー展」での展示でもあったように、ルオーとマティスはモローの教室に学んでいました。モローは聖書や神話に題材をとった理想世界や魂の状態を幻想的に描く作風で象徴主義の作家として知られています。これに対し、マティスは1905年のサロン・ドートンヌ展でフォーヴィスム(野獣派)によりルネサンス以降の伝統である写実主義とは決別し、目に映る色彩ではなく、心が感じる色彩を理知的に表現しました。一方、同時期にブリュッケを中心とした絵画運動のドイツ表現主義は情緒的に色彩を使用しました。「レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才」のシーレは象徴主義、表現主義に影響を受けながらもゴッホに傾斜し、独自の画風を確立しました。
20世紀にはピカソとブラックによってキュビズムが創始されました。それまでの絵画では1つの視点から作品を描いていたのに対しキュビズムでは様々な視点から見た面を1つのキャンバスに収めています。
このように、次回に観覧するマティスと今回のルオーは革新的に20世紀現代美術への扉を開いた大画家であり、二人を比較したり美術史を眺め直したりすることで、アートを鑑賞する楽しみがより深まるのではないかと思っています。
(浜野伸二記)
NHK大河ドラマ特別展「どうする家康」
5月13日、美術愛好会一行は新入会員・金井良寿さんをお迎えし、日本橋三井記念美術館のNHK大河ドラマ特別展「どうする家康」を鑑賞しました。
1542年、貧しい小国・三河の岡崎城で生まれた少年・竹千代が天下を取るまでの波乱万丈の人生。終わりのない戦乱の時代をどう切り開いてきたのか、どうする家康!!
会場の茶碗、刀剣、甲冑や関ケ原合戦図などの大物屏風、久能山の文化財、信長・秀吉はじめ各武将の画像など時代の背景がよくわかる展示物がいっぱいでした。
代表的な出来事を記してみました。
・三河國寺部の攻撃に参加(初陣)。実名を元康と改める、17才。
・桶狭間山で今川義元が敗死、19才。
・織田信長と和解する、20才。
・元康を家康と改名、22才。
・徳川に改姓、24才。
・遠江浜松城を築城。姉川の戦い。上杉謙信と同盟、29才。
・三方ケ原の戦いで信玄に大敗、31才。
・長篠の戦いで織田・徳川連合軍が武田勝頼に勝利、34才。
・相模北条氏と同盟を結ぶ、38才。
・武田氏滅亡。本能寺の変勃発、41才。
・織田信雄に与して羽柴秀吉と戦う(小牧・長久手の戦い)。
11月、秀吉と講和する、43歳。
・本城を駿河城に移す、45才。
・北条氏直が秀吉に降伏、49歳。
・豊臣政権に参画、53歳。
・秀吉死去、57歳。
・大阪城西の丸に入る、58歳。
・関ケ原の戦いに勝利、59歳。
・従一位右大臣兼征夷大将軍に叙任、江戸開幕へ、62歳。
・駿河駿府城に入城、66歳。
・大坂冬の陣起こる、73歳。
・大坂夏の陣起こり豊臣氏滅亡、74歳。
・死去、久能山に埋葬される、75歳。
・日光に改葬される
(詳しくはNHK出版・どうする家康、NHKドラマでどうぞ)
(展覧会終了後、会場前の道路で神田まつりご一行に会うことが出来、暫しまつりの一部を楽しむことが出来ました。 小嶋 記)