西東京稲門会・散策の会 例会報告 

2015年3月 仙川と野川 

 

31 (火)  晴れ

 

    3月23日(月)に桜の開花宣言が出たが、その直後に真冬のような寒い日が続いた。週末から暖かさが戻ってきて30日には桜は一気に満開となった。31日は気温が23℃まで上がり、春を通り越して初夏の陽気となった。花もピーク、気候もばっちり、稀に見る花見日和である。

 

    成城学園駅の改札を出たところにあるスーパーで弁当を調達。大きな店で、早朝だというのに混雑していてレジを通るのに20分ほどかかった。

南口を出て前の通りを左へ、新宿方面に戻る感じで5分ほど歩くと仙川に架かる竜沢寺橋に出た。

 

    川の両岸には遊歩道がある。左岸を下流へ向かって歩き始める。打越橋あたりから見事な桜並木が始まった。両岸から川面に向かって枝を伸ばして桜のトンネルを作っている。ここは上野公園や目黒川のような混雑はなく、車も通らないのでゆっくりと心行くまで桜を見ながら歩くことが出来る。車椅子に乗った身体障害者のグループや外人のペアも花見を楽しんでいる。

空はあくまでも青く、薄いピンク色の桜の雲が棚引き、ピンクの花びらの雨が降り、川面には花筏が浮いている。麗らかな春の景色であった。

   ねかはくは 花のしたにて 春しなむ そのきさらきの もちつきのころ(山家集)

西行はその望み通り、春爛漫の2月16日に亡くなった。丁度今日のような日だったのではないかと想像する。

 

      

                      

    

 

    打越橋から石井戸橋までの約600mほどが桜の並木である。石井戸橋を左折して坂を登り、日本大学図書館の前を右折すると世田谷通りの上に架かる小さな橋がある。この橋の上から眺める景色がなかなか良い。世田谷通りの両側には桜の大木があり、「せたがや百景」の一つになっているという。橋を渡り、右手の急な階段を降りると大蔵三丁目公園である。

大昔の多摩川が削った河岸段丘が国分寺崖線で、「ハケ」とも呼ばれ、高さ10〜20mの崖が国分寺市から世田谷区まで約25q続いている。仙川はそのハケに沿って流れている。ハケのあちこちに湧き水があり、仙川や野川の水源となっている。大蔵三丁目公園も崖下の流れに沿った細長い公園で、樹林の中の小道をたどると湧水池がある。

 

        

         世田谷通り             大蔵三丁目公園の湧水池

   

    大蔵三丁目公園を過ぎると間もなく世田谷区立大蔵運動公園の北側の入口である。ここから思いがけない山登りとなった。ハケの崖下から崖上までわずか20mほどの登りであるが、東京とは思えない山道を歩いているような錯覚に陥った。登りきると子供向けのフィールドアスレチックがあり、その先には陸上競技場、野球場、テニスコート、体育館、温水プールの揃った総合運動場が広がっている。これだけ施設の整った自治体は余りない。羨ましい限りである。

 

       

       大蔵運動公園への登り              運動公園内の体育館

 

★ 大蔵運動公園を通り抜けて正門を出ると、道路一本隔てた向かいが都立砧公園である。入口を入り、緩やかに坂を下って行くと芝生の広場がある。桜の大木がその広場を囲んでいるので絶好の花見ポイントである。平日なので母子連れが多かった。我々も芝生に座って花見弁当を食べた。

 

    

        砧公園の花見               砧公園の桜

 

    昼食後、砧公園から大蔵運動公園を抜けて仙川まで戻り、住宅街を通って野川へ出た。仙川はコンクリートの護岸なので人工の川のようであるが、野川には自然の岸があり、仙川よりもずっと大きく、空も広々と見える。野川沿いに遡上して小田急線のガードをくぐると最後の急坂が待っていた。これもハケを登る道である。傍らに成田山喜多見不動堂の小さな祠があった。大きな邸宅が並ぶ成城の住宅街を抜けて午後2時に成城学園駅に戻ってきた。       

     

 

参加者  金児利行、金子正男、小島恕雄、佐野信男、志賀勉、野本塋一、比留間治男

  以上7名

 

写真と文 小島

 

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