西東京稲門会・散策の会 例会報告 

2015年4月 草花丘陵 

 

21 (火)  くもり

 

    4月20日の深夜から21日の未明にかけて大雨と強風が吹くという天気予報であったので実施が危ぶまれたが、雨も風も大したことはなく予定通り出発した。本当に久しぶりに石井夫妻と滑志田さんが参加して、総勢10名であった。

 

    五日市線の東秋留駅には午前9時43分に到着した。改札を出て北へ行くと間もなく五日市街道である。その角に弁当屋があったので、弁当をコンビニで調達しようと思っていたM氏はここで弁当を買うことにした。応対に出たのはかなり高齢のおばあさんで、注文を受けてから調理を始めたので思わぬ時間がかかった。

道の両側には畑が広がり、ネギ、ほうれん草などが栽培されている。また畦道などにはヒナゲシの花も風にゆれている。長閑な田園風景の中を15分ほど歩いて都立秋留台公園に着いた。

 

    公園の南口を入ると広い遊歩道があり、右側は桜の並木、左側はケヤキの並木である。桜の花柄が落ちて遊歩道は全面が薄いピンクに染まっていた。そしてケヤキの若葉が芽吹いたばかりでその薄緑が実に美しい。

遊歩道を突き当たると左手に煉瓦と大理石を使った東欧風のバラ園がある。バラ園の両側にはツツジが植えられており、さらにその外側は銀杏の並木である。バラもツツジもまだ咲いていないし、銀杏もまだ葉をつけていない。5月になれば見事な花園が見られるだろう。

この公園には全天候型400mのトラックをもつ立派な競技場がある。その緑の芝生の上を親子連れがジョッギングをしていた。競技場、芝生広場、コニファー園などを見ながら秋留台公園を通り抜けて西口から通りに出た。

 

         

   桜の花柄に敷き詰められたピンクの路           バラ園

    都道176号線を北へ進むと右手に桑畑があった。高さ80pほどの桑の木が整然と並んでいる。枝も葉もついていないのでちょっと異様な感じがするが、昔はよく見た風景である。その先で人も車も通っていない広い道と交差した。両側はハナミズキの並木で、白とピンクのハナミズキが交互に植えられていて美しい。

さらに行くと、辻に大きな赤い唐辛子の形をした飾り物が下がった珍しい祠があった。幟には「蕃椒地蔵尊」と書かれている。お地蔵さんには唐辛子で作った首飾りが掛けてあった。

 

        

         桑畑                  蕃椒地蔵尊

     坂を下ると平井川にかかる南小宮橋である。橋の手前にある石段を降りると草花公園である。芝生広場と池があり、池畔には四阿があって落ち着いた雰囲気を醸していた。幼稚園児たちが池を覗いたり、遊具に乗ったり、芝生を駆け回わるなど、楽しそうに遊んでいた。平井川にかかるつり橋を渡って対岸に渡り、もとの都道に戻った。

少し行くと都道165号とのT字路で、そこを右折して福生駅方面へ向かう。ここも道の両側はハナミズキの並木である。沿道の家も比較的新しくモダンな家が多く、庭には様々な花が植えられていて歩くのも楽しい。この辺の地名を『草花』というが、住民の人達も地名に恥じないように草花を育てているのだろう。下草花というバス停の所を左折するとやがて慈勝寺に着いた。

 

          

      園児たちが遊ぶ草花公園           水遊び場となる平井川

★ 慈勝寺は臨済宗建長寺派の寺で、畠山重忠の伯母にあたる円寿院のために創建されたと伝えられる。八王子城が落城した時に伽藍は焼失したという。狭いながらもよく手入れされたお寺である。参道の左に都の天然記念物に指定されたモッコクの大木がある。樹高が21.5m、幹回りが2.4mで、これだけの高さのモッコクは珍しいというが、木の上の方の枝が切られてしまったのが残念である。本堂にお参りをして戻るとき、山門の近くで桜の木の二股の所に千両(または万両)の若木が育っているのを見つけた。モッコクよりもこちらの方が珍しかった。

 

      

       慈勝寺山門             桜の二股から芽生えた千両

    慈勝寺の山門の前に大澄山への登山口がある。よく整備された山道を10分ほど登ると大澄山の頂上に着いた。標高は192mで、やや広い山頂には四阿とテーブル・イスがあり、絶好の休憩所である。時間も正午に近かったので、ここで弁当を広げた。

目にも鮮やかな萌木色の若葉の下で、野鳥の囀りを聴きながらの昼食は実に旨かった。バードウォチャーの滑志田氏によれば、よく鳴いているのは「峨眉鳥」という中国由来の鳥だそうで、この鳥のおかげで日本在来の鳥が減ってきているそうである。ウグイスの声だけはよく聞き分けることができたが、その他の鳥の鳴き声の区別はなかなか難しい。

 

     

                 大澄山山頂にて

    地図によれば、この近くに三角点がある。標高が203mになっているので山頂から少し離れた所らしい。登ってくる途中には高い所はなかったようなので、この先にあるに違いない。そう思いながら歩いていると左に急斜面が現れた。落葉に埋まっているが道らしい感じがするので登ってみることにした。かなりの急斜面で、途中には倒木が道をふさいでいて、苦労して乗り越えて進むとやがて平らな場所に出た。そこには三角形のコンクリート製の建造物が建っている。中は祭壇のように見えるが仏教式なのか神道式なのかキリスト教式なのかはっきりしない。あるいは記念碑なのか慰霊碑なのかもしれない。しかしここは展望が利かないので三角点にはふさわしくない。するとさらに道が続いていて100mほど歩くとようやく展望の拓ける場所に出た。ありました三等三角点。ここからは福生、羽村の市街地がよく見える。高さと展望の良さから、ここが大澄山の山頂でもよいのではないかと思う。

 

            

       得体のしれない建物              三等三角点

    山を下って広い道に出て20分ほど歩くと立川国際CCの入口に着いた。ここから立川国際の縁に沿って細い道が続いている。フェンス越しにゴルフ場の芝生が見え、時々カーンという乾いた打球音が聞こえる。満開の八重桜の下を登って行くと、崖崩れした沢があり、鉄パイプで仮の橋が架けられている場所もあった。大澄山から70分ほどで浅間岳の頂上に着いた。今回の登りは長かったのでかなり大汗をかいた。ここにも三等三角点があり、1日に2つの三角点を見ることができた。

 

  

 

    浅間岳頂上からちょっと下った所に羽村神社があり、ここからの眺めも素晴らしい。山道を15分ほど下ると羽村市郷土博物館に着いた。あとは多摩川の土手道をのんびり歩き、羽村堰下橋を渡って羽村駅へ。3時5分に羽村駅に到着した。

 

    今回は標高がわずか200m前後の、山とも言えない丘陵のハイキングであったが、十分に山旅気分を味わえた。何といっても芽吹いたばかりの新緑の美しかったし、野鳥の声も堪能した。またチューリップ、ツツジ、ドウダンツツジ、ニリンソウ、シャガ、藤、ハナミズキ、八重桜、大島桜、… のほか、名前も知らない多くの花に出合えた楽しい一日であった。

 

俳句クラブのメンバーから当日詠んだ俳句を頂きました。

 

   草花の丘の昼餉や初つばめ          滑志田流牧

 

    轟轟と春の水引く取水堰        松谷富彦

 

    登り来て若葉の中に三角点       金子正男

 

    大甕に自在の目高禅の寺        志賀 勉

 

    庫裡裏に組まれし榾木春子生ふ      松尾良久

 

     

 

参加者  石井唯夫、真佐江、金児利行、金子正男、小島恕雄、志賀勉、滑志田隆、

比留間治男、松尾良久、松谷富彦   以上10名

 

写真と文 小島

 

散策の会へ