西東京稲門会・散策の会 例会報告 

2015年10月    市 川 

 

1027 )  晴れ

 

    朝の気温は10.4℃で、この秋一番の冷え込みであったが、正午には24.4℃と夏日にあと一歩というところまで上がった。朝の寒さに合わせて厚着をしてきた人には気の毒なほどであった。

 

    池袋駅に集まったのはなんと18名。久々の大集団である。金児夫人は市川真間付近のご出身ということで散策の会に初参加、金児氏、野本氏も市川に住んでいたことがあるという。また手児奈の話は源氏物語にも出てくるというので、源氏物語を読む会から林先生と小林さんが参加された。

 

     市川真間駅から真間銀座通りを北へ進み丁字路を右折、20分ほどで信号のある十字路に着いた。ここを左折すると桜土手公園が始まる。そして桜土手に沿って『文学の道』となっている。桜の木の下に市川ゆかりの文学者と作品の説明板が立っている。説明板の表には文学者の略歴や市川との関わりについての説明があり、裏には彼らの代表的な作品が紹介されている。

下の写真は北原白秋、吉植庄亮、松本千代二についての説明板である。

  

  

 

★ このような説明板が15枚設置してある。主な文学者は小説家の三島由紀夫、永井荷風、幸田露伴・文、井上ひさし、詩人の北原白秋、宗左近、俳句の水原秋櫻子、吉田冬葉、能村登四郎などである。説明板を1枚1枚読んで、昔読んだ小説や俳句などについて思い出話などをしながら歩いた。俳句の能村登四郎は野本さんの市川中学時代の国語の先生だったそうである。

 

    桜土手が終わると真間川に出た。川沿いにも説明板が4枚ほど立っているが、15枚目の説明板のあるところが手児奈橋の南詰で、橋から北へ5分ほど歩き八百屋の角を左折すると手児奈(手古奈)霊神堂である。

手児奈は7世紀初頭に下総国・勝鹿(葛飾)の真間に住んでいた国造の娘で、大変美しかったので、手児奈を巡って男たちの争いが絶えなかった。困った手児奈は真間の入り江(真間川の付近)に入水したと伝えられる。この話が都にも伝えられ、万葉集には高橋虫麻呂や山部赤人が手児奈伝説を詠んだ歌がある。

奈良時代になって行基がその故事を聞いて、その霊を慰めるために『求法寺』を建て、更に100年ほど後に弘法大師が求法寺の境内を整備し、名を『弘法寺(ぐほうじ)』と改めた。

手児奈霊神堂と道を挟んだ向かいには亀井院があって、手児奈が水汲みをしていたという井戸(真間の井)がある。

 

 

   

      手児奈霊神堂                   真間の井

 

     手児奈霊神堂の先に弘法寺がある。急な石段を登って振り返ると、山門から真っすぐに伸びる参道の先に市川駅前の高層ビル、そして市川の市街も一望できる。

鎌倉時代に日蓮宗の寺となった。仁王門は歴史を感じさせる立派なもので、阿吽の仁王像が我々を睨んでいた、本堂と寺務所は現代的なコンクリート造りで、本堂より寺務所の方が大きい。

境内には一茶、水原秋櫻子、富安風生の句碑があり、伏姫桜と呼ばれる大きなしだれ桜がある。

 

    

       弘法寺 仁王門                 弘法寺 祖師堂

★弘法寺から市川駅に向かって一直線に延びる参道は大門通りという。沿道の民家の塀や壁には市川市在住の書家が書いた万葉集の歌が道行く人を楽しませてくれる。市川駅ビル内の中華レストランで昼食を取った。

 

★市川駅から総武線に乗り、下総中山駅で下車した。駅前から中山法華経寺の参道が延びている。5分ほど歩き京成線の踏切を渡ったところに総門(黒門)、更に5分ほど歩くと仁王門(赤門)があり、右手に大きな日蓮上人の銅像が立っている。

正中山・法華経寺は鎌倉時代に創建された日蓮宗の大本山である。境内は広く多くの塔頭が並んでいる。日蓮筆の観心本尊抄と立正安国論は国宝であり、祖師堂、五重塔、法華堂、四足門は国の重要文化財に指定されている。

 

    

      法華経寺 五重塔                法華経寺 宝門殿

 

★法華経寺を出て15分ほど住宅街を歩くと東山魁夷記念館がある。東山魁夷は昭和20年から逝去するまでの約50年を市川市で過ごした。記念館は洒落た洋館で、庭には白樺の木が植えられ、爽やかな風が吹いていた。ちょうど開館10周年記念特別展を開催中で、東山魁夷に影響を与えた日本画の礎・結城素明、中村岳陵、山口蓬春の作品が展示されていた。東山魁夷の作品が少なかったのは残念であるが、展示されていた作品はいずれも素晴らしいものであった。

 

           

俳句サロンのメンバーから俳句の投稿をいただきました

 

真間の井に舞ひ巡りたり秋の蝶   志賀 勉

 

水澄んで詠み人知らず手児奈井戸  滑志田流牧

 

真間の秋歌碑に万葉仮名たどる   松尾 良久

 

 

      

 

参加者  金子正男、金児利行夫妻、小島恕雄夫妻、志賀勉、滑志田隆、野本瑩一、

林マリヤ、比留間治男夫妻、松尾良久、安井義彰夫妻、安村長生、

臼井静江、小林絢子、 中村仁美  以上18名

写真と文 小島

 

 

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