西東京稲門会・散策の会 例会報告 

2016年11月    白 金 

 

112 )  快晴

 

    未明まで小雨が降っていたが、天気は急速に回復して雲一つない快晴となった。気温も20℃を越える暖かさで、10月初旬の温度だそうで汗ばむほどであった。

朝6時前に起きた福島県沖地震の影響で、都内の電車の運行にも乱れがあったが、ほぼ予定通り10時前に目黒駅に着いた。

 

    目黒駅前では高層マンションの建設中で、「完売御礼」の掲示が張り出されていた。このマンションの他にも高層ビルが増えて、駅前の景色が一変しているのに驚いた。

 

    目黒通りを500mほど歩くと左手に庭園美術館がある。ここは1933(昭和8)年に朝香宮邸として建てられ、1947(昭和22)年に朝香宮が皇籍離脱するまで住まわれた。その後1954年まで吉田茂外相・首相が公邸として使用し、1955年から1974年までは迎賓館として利用された。1981年に東京都の所有となり、1983年に庭園美術館として一般公開された。

朝香宮がパリに滞在当時、フランスはアール・デコの全盛期で、自邸の建設に当たりフランス人芸術家アンリ・ラパンに主要な部屋の設計を依頼し、ルネ・ラリックらの作品を採用するなどアール・デコの精華を存分に取り入れた建物である。天井、壁、床、扉などの素材や意匠、照明、暖炉、家具などの調度品の華やかさに度肝を抜かれた。

 

    旧朝香宮邸全景        大広間 客室の扉

 

    庭園美術館に隣接して国立科学博物館附属の自然教育園がある。美術館と自然教育園とは、元皇室の白金御料地だったところで、朝香宮創設の際に1万坪を朝香宮に下賜されたものである。自然教育園は庭園美術館の数倍の広さがある。武蔵野の面影を残していて、都心とは思えない静かさである。

正門を入ると雑木林の中に道が続いていて、両側は路傍植物園と称し、山野の道端で見られる野草が植えられている。千両、万両、カラタチバナ(百両)、ヤブコウジ(十両)などの実が真っ赤であった。イイギリやサルトリイバラの実も真っ赤である。また水生植物園ではススキ、ガマ、タデなど水辺の植物が見られた。イロハカエデの木も多かったが、まだ紅葉していなかった。12月の初旬になると見事な紅葉が見られそうである。

      路傍植物園        センリョウ 水生植物園

 

    白金台駅近くの中華レストランで昼食を取った。この付近には食事処が少なく、ちょうど昼休みにぶつかってしまったのでしばらく待たされた。

 

    白金台駅のすぐ南に黄檗宗の紫雲山瑞聖寺(ずいしょうじ)がある。黄檗宗は江戸時代の初期に明から渡来した新しい禅宗で、京都の萬福寺は隠元禅師が開いた黄檗宗の本山であるが、瑞聖寺は隠元の弟子の木庵が寛文10(1670)年に創建したもので、江戸における黄檗宗寺院の中心的存在であった。大雄宝殿(本堂)は黄檗宗独自の様式のもので、国の重要文化財に指定されている。本尊は釈迦如来坐像、両脇侍は阿難、迦葉で、いずれも寄木造りである。

 

   瑞聖寺 大雄宝殿    釈迦如来坐像と脇侍仏

 

    目黒通りを挟んで瑞聖寺の向かいには東京大学医科学研究所がある。設計は東京大学・本郷キャンパスと同じ内田祥三で、レンガ造りのゴシック様式のどっしりとした建物である。大分古くてレンガはくすんでいる。改修工事中でフェンス越しにしか見ることができなかった。

    医科学研究所の西門を出ると外苑西通りである。プラチナ通りとも呼ばれているが、銀杏並木が黄金色に色づいて、いかにも白金らしい景色である。なだらかな坂を下ってゆくと右手にチョコレートの名店「ショコラティエ・エリカ」がある。ここでお土産を買う人が多かった。チョコレート屋の先を右折すると今度は急な登り坂である。登り切って左折をしてしばらく行くと突き当りが聖心女子学院である。

聖心女子学院に沿って下るのが蜀江坂である。坂の上を紅葉が美しい中国の蜀江に因んで「蜀江台」と呼んだことが名前の由来だそうである。蜀江坂を下りきった突き当りに北里大学がある。

 

   東大・医科学研究所  蜀江坂 右が聖心女子学院

    北里大学から20分ほど歩いてサッポロビールの本社に着いた。その地下に「ヱビスビール記念館」がある。2つの大きな缶ビールが鎮座する入口を入ると、大きな鯛を抱え、釣竿を担いだ恵比寿様が迎えてくれた。その先には蒸留窯が見えている。

ヱビスギャラリーでは、ヱビスビールの誕生から今日に至るまでの資料や写真が展示されている。一通り見学して、ヱビスビールや恵比寿駅、恵比寿の町の発展の様子を知ることができた。

最後にテイスティングサロンで生ビールを味わった。ヱビスビール、ヱビスプレミアムブラック、琥珀ヱビス、ヱビスプレミアムミックスなど、どれもまろやかでコクのある生ビールで、各自が好みのビールを堪能した。暑い日で、喉が渇いていたので、格段に美味しかった。

 

  ヱビスビール記念館  エビスのマークと蒸留窯

 

 

俳句クラブのメンバーから俳句を頂きました

 

時計塔へ真直ぐの道銀杏散る

 

飯桐の朱美たわわに神の沼

 

学園の白き聖母に紅葉散る      良久

 

伽藍越し黄落さかん大銀杏      勉

 

参加者  金児利行、梶原松子、小島恕雄、幸子、志賀勉、野本瑩一、比留間治男、

松尾良久、水野夫人、臼井静江、中村仁美  以上11名

写真と文 小島

散策の会へ